雛人形選びの一番のポイントは「お顔」でしょう。雛人形は、一対の雛人形に愛のかたちを託して、将来わが子も幸せになれるように、と願いながら飾るものです。娘さんの分身として飾られるお雛様は、娘さんの将来の結婚式を表現しているという説もあります。幸せそうな顔の女雛のように嫁いで欲しいと祈って飾るので、やはり、雛人形選びには、お顔の表情が重要なポイントになります。
お雛様は、一見すまし顔のようですが、よく見てみるとお口が開いています。つまり、微笑みを浮かべ、喜びを表現しているのです。ただ、本当に素晴らしい表情とは、口元を隠しても、喜びの表情が目元だけで表されているものです。口元はにこやかでも、目元に優しい表情を出すことができないと、幸せそうな柔らかい表情には見えず、顔が怖かったり暗かったりしてしまうのです。そのため、雛人形の表情作りは、頭師のもつ技量にかかっているので、衣装などよりも重要なポイントなのです。
また、人形を選ぶ際は、人形のお顔を正面から見るだけでなく、いろんな角度から見てみましょう。良い表情のものは、見る角度により表情が豊かで、深い味わいを感じられるはずです。娘さんのひな祭りには、雛人形を分身として、幸福の願いを込めて、喜びに満ちた心が和むお顔を選びましょう。
一流の人形作家が丁寧に作り上げた人形は、量産品とは比べものにならないほど表情豊かです。大切な子どもさんのひな祭りには、ぜひ、手作りのものを贈ってください。