ちらし寿司と蛤

ひな祭りパーティーの料理と言えば、ちらし寿司と蛤(はまぐり)が入ったお吸い物でしょう。
「ちらし寿司」は、ひな祭りの言い伝えは特にありません。ただ、エビは腰が曲がった姿から“長生き”を意味し、レンコンは穴が開いているため“見通しがきく”、豆は健康で“まめ”に働くことができる、という意味があり、これらの縁起の良い具材がお祝いの席に最適です。また、玉子や人参、ミツバなどの色鮮やかな食材は春を呼び込むため、ひな祭りの定番料理となったのでしょう。
江戸時代、3月3日は「ひな祭り」であると共に、大潮に近いため“潮干狩りをする日”とされていました。寒い冬が終わって、だんだんと暖かくなってきたこの時期の海は眺めも良く、たくさんの人が潮干狩りを楽しんでいたようです。女性たちは「潮干小袖」という、潮干狩りをするために袖を短くした着物を着て、海へ向かったそうです。3月3日は、元々、水辺に出かけて厄を払う日でした。そんな風習が、江戸時代に入ってから「潮干狩り」と形を変えたのかもしれません。そして、潮干狩りで採った蛤が、 ひな祭りの料理やお吸い物に使用されるようになったのです。
また、蛤などの二枚貝は、対となっている貝殻しか合わないため、“貞操”を暗示し、相性の合う結婚相手に出会って、仲良く過ごしていけるように、という意味が込められています。盛り付けをする際には、開いた両側の貝に、身をそれぞれに乗せましょう。これは、「1つの貝殻に、蛤の身が2つ仲良く乗っている」という意味があり、これからの幸福を祈りながらいただきましょう。