菱餅とひな祭りの色

3月3日の「桃の節句」は、無事に春を迎えられた喜びと、みんながこれからも元気に過ごしていけるようにと祈願する日です。女の子が主役となることが多いと思いますが、春をみんなで祝うのも良いでしょう。伝統的な食べ物や、この日に合った色を取り入れて、楽しくすてきな1日を過ごしてみてください。
「菱餅」の起源は、古代中国の上巳の節で食べられていた「母子草(ははこぐさ=ゴギョウ)」のお餅です。これは、母親と子どもが健やかに過ごすことのできるように、という意味があります。日本では、それが“よもぎ餅”となりました。そして、江戸時代に菱(白い花を咲かせる水草)を加えた白色の餅が、明治時代にはクチナシで色を付けた赤色の餅が加わって、菱餅は3色のお餅として定着したのです。それぞれの色には、健全な子に育って欲しいという祈りが込められています。
「桃色」・・・クチナシの赤い実は解毒作用があるので、魔除けの意味があります。
「白色」・・・菱の実は血圧を下げる作用があり、長寿や純粋、子孫の繁栄を願います。
「緑色」・・・よもぎは強い香りをもち、厄除けの効果があるとされています。また、健やかな子供の成長を願います。
また、3色を積み重ねる順番は、春の光景を表しています。上から桃色・白色・緑色の順番だと、地上では桃の花が咲き、まだ残る雪の下には、新芽が力強く芽吹いている場面を表現しています。桃色・緑色・白色だと、桃の花が華麗に咲き、新芽が雪の中から芽吹いている場面を表現しています。
この3色は、ひな祭りのイメージカラーとして定着していますが、さらに菜の花の色である「黄色」を加えて、より鮮やかさを引き立てる場合もあります。ひな祭りの演出には、これらの色を飾り付けなどに取り入れてみましょう。